この1 min ID consult(1分間で読める感染症)では、実際の米国の感染症フェローシップにおいて、日々の回診や教育カンファレンスで扱われるテーマについて簡潔にわかりやすく解説しています。

忙しい研修医やフェローでも休憩時間に読むことができるように、重要なポイントをできるだけビジュアル化して共有します。

以前私がチーフレジデントを経験していた際に、朝のモーニングレポートでチーフレジデントが研修医に対して前日の入院症例から学ぶことや話題のトピックなどを5-10分程度で行う伝統的な企画がありました。当初は一つのトピックに対して様々な内容を準備し研修医にどんどん吸収してほしいと盛りだくさんの内容でしたが、そこで指導医に「多くを詰めすぎることが全てではない、どれだけ研修医が頭に残っているか評価したことがあるか」と厳しい指摘を受けました。当時米国ハワイ大学の内科チーフレジデントであった野木先生を訪ねてチーフレジデントの見学を行った際にも「Teach Less」という概念を共有してもらい、米国チーフレジデント学会(APDIM)でのワークショップに参加した際にTake home messageは多くても3つまでと学びました。実際に自施設の指導医にアンケートを取ってみたところ、朝のチーフレジデントの教育は短ければ短いほど良いという意見が大多数でした。以降、あらゆる日常臨床で出会う重要事項を短時間で非専門家でも理解できるようなシンプルに伝えることが自分のミッションであると自覚しました。これまで様々な教育手法やテクニックを学んできましたが、研修医教育を行う際に最も心がけてきたことです。1分間であれば忙しい研修医でも忙しい指導医も時間を取れないはずはありません。研修医の集中力という観点から、また指導医の教育のコンテンツを用意するための時間という観点からもお互いにWin-Winであるのがこの1分間ティーチングです。米国にも似たような取り組みがあり、例えばクリーブランドクリニックの1-Minute Consult (https://www.clevelandclinicmeded.com/medicalpubs/ccjm/) や5-Minute Clinical Consult Seriesといった教科書(https://shop.lww.com/5-minute-consult-series/c/455?sortBy=createDate+desc)などを参考にしています。以前日本の北野夕佳先生も5分間ティーチングといった手法(https://ykitano5min.hatenablog.com/)を臨床教育の現場で取り入れられています。

この1 min ID consult(1分間ティーチング)は、主に感染症フェローが学年が比較的近い研修医や医学生に対してのツールと捉えていただけたらと思います。知識のインプットと教育のアウトプットを繰り返すことによって自身の理解を深めるという屋根瓦教育・Fellows as Teachersの一環としてのツールとして考案しています。

英語版のTwitterではアメリカのみならず、南米やインド、ヨーロッパなど世界中の感染症に興味がある若手を中心に議論がなされて自身も大変勉強になっています。

臨床上のあらゆる場面で有用なコンテンツを継続的に配信していくことができたらと思います。

Twitterはこちらから→ https://twitter.com/1min_idconsult

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